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花の香りに酔う如く
第1章 月下美人の夜①〜沙羅
小学校にあがっても、
毎週土曜日にはそこのお寺にママの車で行って、
お茶のお稽古を家元でもあるご住職様から、
お華のお稽古をその奥様からしていただいていた。


平日は他にもお稽古事をしてたけど、
ピアノやバレエのレッスンとは違う、
地味で落ち着いたお稽古は嫌いではなかった。


同じ歳の空くんとは地元の公立の小学校に通うようになっていた。
クラスも同じで、お転婆な私は男子達に混ざって一緒に遊ぶことも多かった。


ママ達がお茶で難しいお稽古をする時には、
一番上の慧(けい)お兄様が、
家元先生の代わりに私のお稽古を見てくださることもあった。


長身で優しくて、
子供なのに私はドキドキした気持ちになってしまって、
手元が震えてしまうこともあった。


慧お兄様が大学を出て、
本山に修行に行かれてしまうと聴いた時は、
思わず泣いてしまった。


「修行が終わったら、戻ってくるから」と頭を撫でて貰ってくださったのに、

「慧お兄様のバカ!」と言って、
踵を返してお茶室を飛び出してしまったら、
玄関を出た処で真ん中のお兄様にぶつかって転んでしまった。
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