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花の香りに酔う如く
第1章 月下美人の夜①〜沙羅

「沙羅ちゃん、大丈夫?
怪我、してない?」と言いながら、
律(りつ)お兄様が私を起こしてくれて、
ワンピース越しに膝の辺りを軽く叩いてくれた。
「あれ?
泣いてるの?
痛い?」と言って、顔を覗き込まれたので、
恥ずかしくて律お兄様の胸に顔を埋めてしまった。
律お兄様は、ぎこちなく髪を撫でてくれる。
「慧お兄様がね。
修行に行っちゃうって…」
律お兄様は、
待合の腰掛けの処に私を座らせてくれて、
小さい声で言った。
「慧兄さんも僕も、それに空も、
みんな、修行に行くんだよ。
そういう家だからね」
「律お兄様も?
いつ?」
「んー。
大学出てからかな?
でも、高校出たら、
家を出ると思うよ?」
「えっ?
どうして?」
「まあ、色々あるからね?」
「沙羅、淋しいな」
「僕なんて、
居ても居なくても同じでしょ?」
「そんなことないけど…。
律お兄様は、沙羅のこと、嫌いでしょ?」
「えっ?」
「だって、話もしてくれないし。
小さい頃から、ここに遊びに来ても、
すぐにお部屋に入っちゃうし。
泣き虫だから、嫌いなんでしょう?」と話しながら、
また、泣いてしまっていた。
怪我、してない?」と言いながら、
律(りつ)お兄様が私を起こしてくれて、
ワンピース越しに膝の辺りを軽く叩いてくれた。
「あれ?
泣いてるの?
痛い?」と言って、顔を覗き込まれたので、
恥ずかしくて律お兄様の胸に顔を埋めてしまった。
律お兄様は、ぎこちなく髪を撫でてくれる。
「慧お兄様がね。
修行に行っちゃうって…」
律お兄様は、
待合の腰掛けの処に私を座らせてくれて、
小さい声で言った。
「慧兄さんも僕も、それに空も、
みんな、修行に行くんだよ。
そういう家だからね」
「律お兄様も?
いつ?」
「んー。
大学出てからかな?
でも、高校出たら、
家を出ると思うよ?」
「えっ?
どうして?」
「まあ、色々あるからね?」
「沙羅、淋しいな」
「僕なんて、
居ても居なくても同じでしょ?」
「そんなことないけど…。
律お兄様は、沙羅のこと、嫌いでしょ?」
「えっ?」
「だって、話もしてくれないし。
小さい頃から、ここに遊びに来ても、
すぐにお部屋に入っちゃうし。
泣き虫だから、嫌いなんでしょう?」と話しながら、
また、泣いてしまっていた。

