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花の香りに酔う如く
第8章 金木犀の香りほどの不安②〜律

「じゃあ、何処に行く?
今度はボールペンじゃあ、ダメだよ?
取り敢えず、銀座かな?」と言うと、
「仏具屋さんに行きたい」と言われて、
「えっ?」と沙羅ちゃんの顔を見てしまった。
「仏教のこと、良く判らないけど、
ほら。
お念珠っていうのかしら?
お経を読んだり、
お辞儀する時、
手で掛けてるでしょ?
それが欲しいです」
僕は心がギュッとするような、
なんとも言えない気持ちになって、
沙羅ちゃんの手を握った。
沙羅ちゃんは、僕なんかより、
余程、僕と結婚する意味を考えてくれている。
そう感じた。
2人でデートやプレゼントを買いに行くというのとは程遠い、
仏具屋さんに行くと、
「おや。
今日は水野ご住職様はご一緒ではないんですか?」と、
店の奥から店主が出て来た。
「彼女に念珠を選びたいんですが」と言うと、
「可愛らしいお嬢さんですね?
こちらは…?」と言われてしまう。
「彼女です」とそのまま言うと、
店主は楽しそうに笑い出す。
「プレゼントに?
念珠?
いやいや、いくらお坊さんでも、それはないでしょう?
こんな若いお嬢さんに?
振られますよ?」
沙羅ちゃんが頬を膨らませて、
「違うんです。
私からリクエストしたんです」と言うと、
不思議そうな顔をして、店主が沙羅ちゃんを見る。
「もっと律さんのこと、知りたいし、
私、仏教のことも良く判らないから、
形から入ろうかなって思って…」
店主は楽しそうに笑うと、
「どうぞ奥へ」と言って、
カウンター席を勧めてくれる。
あれこれ、説明してくれて、
「優しい淡いピンク色の珊瑚の念珠が似合うんじゃないかな?」と僕が言うと、
沙羅ちゃんが嬉しそうに頷いた。
更に店主から、
「これなら、お守りみたいに毎日手首につけてられますよ?」と言われて、
ブレスレットのようなタイプのものも並べるのを見て、
僕の顔を見るので、
「好きなの、選んだら?」と言うと、
真剣な顔で選び始める。
そして、淡い透明感のあるピンクと紫が基調になった控えめなものを嬉しそうに選んでいた。
珊瑚のお念珠はラッピングして貰って、
ブレスレットはすぐに身につけていきたいと言うので、
僕が手を取って左手首に嵌めてあげると、
はにかんだ笑顔で、
「律さん、ありがとうございます」と言った。
今度はボールペンじゃあ、ダメだよ?
取り敢えず、銀座かな?」と言うと、
「仏具屋さんに行きたい」と言われて、
「えっ?」と沙羅ちゃんの顔を見てしまった。
「仏教のこと、良く判らないけど、
ほら。
お念珠っていうのかしら?
お経を読んだり、
お辞儀する時、
手で掛けてるでしょ?
それが欲しいです」
僕は心がギュッとするような、
なんとも言えない気持ちになって、
沙羅ちゃんの手を握った。
沙羅ちゃんは、僕なんかより、
余程、僕と結婚する意味を考えてくれている。
そう感じた。
2人でデートやプレゼントを買いに行くというのとは程遠い、
仏具屋さんに行くと、
「おや。
今日は水野ご住職様はご一緒ではないんですか?」と、
店の奥から店主が出て来た。
「彼女に念珠を選びたいんですが」と言うと、
「可愛らしいお嬢さんですね?
こちらは…?」と言われてしまう。
「彼女です」とそのまま言うと、
店主は楽しそうに笑い出す。
「プレゼントに?
念珠?
いやいや、いくらお坊さんでも、それはないでしょう?
こんな若いお嬢さんに?
振られますよ?」
沙羅ちゃんが頬を膨らませて、
「違うんです。
私からリクエストしたんです」と言うと、
不思議そうな顔をして、店主が沙羅ちゃんを見る。
「もっと律さんのこと、知りたいし、
私、仏教のことも良く判らないから、
形から入ろうかなって思って…」
店主は楽しそうに笑うと、
「どうぞ奥へ」と言って、
カウンター席を勧めてくれる。
あれこれ、説明してくれて、
「優しい淡いピンク色の珊瑚の念珠が似合うんじゃないかな?」と僕が言うと、
沙羅ちゃんが嬉しそうに頷いた。
更に店主から、
「これなら、お守りみたいに毎日手首につけてられますよ?」と言われて、
ブレスレットのようなタイプのものも並べるのを見て、
僕の顔を見るので、
「好きなの、選んだら?」と言うと、
真剣な顔で選び始める。
そして、淡い透明感のあるピンクと紫が基調になった控えめなものを嬉しそうに選んでいた。
珊瑚のお念珠はラッピングして貰って、
ブレスレットはすぐに身につけていきたいと言うので、
僕が手を取って左手首に嵌めてあげると、
はにかんだ笑顔で、
「律さん、ありがとうございます」と言った。

