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ただ一緒に居たいだけ
第10章 キスの温度
「大丈夫ですよ」と言う健吾さんに、

「だいぶ体調が良くなりましたし、
ずっと眠ってばかりで腰が痛くなっちゃいましたので」と言って、
品川駅まで見送りに行くことにした。


「今度の木金は、名古屋出張なんですよ?」と言うと、

「じゃあ、手料理のお礼に夕飯、ご馳走させてください」と言われた。


「手料理ってほどのものでは…」と言っても、
言うことを聞いてくれない。



出張は木金だったけど、
慎吾さんには、
「帰宅は土曜日の夜」と伝えていた。

キャンプとかにって言ってたのを、
やんわり断われるようにと、
1日多く言ってみたけど、
特に予定はなかった。



健吾さんに個人携帯を教えて、

「今度からこちらにお電話くださいね?
会社携帯だと、すました声になりますので」と言った。


改札で見送って、
駅ビルで買い物しようかと歩き始めて、
慎吾さんを見掛けた。


人違いかと思ったけど、
やっぱり慎吾さんで、
女性と楽しそうに歩いていた。


私は思わず、
身体を柱に隠すようにしてしまう。


もう一度見ると、
やっぱり慎吾さんで、
一緒に居るのは、
オフ会で会ったルカさんに見えた。




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