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ただ一緒に居たいだけ
第18章 別れと始まり

そんなある日のことだった。
慎吾さんが、
「美波さん、これ、覚えてる?」と言って、
パソコンのモニター画面を見せた。
それは、とても懐かしいゲーム画面で、
そこにはゲームの中の私の家の庭があった。
「懐かしい。
ジュリさんね?」と言うと、
「ここの庭ね。
ずっと『ケンさん』が、
お花に水をあげてたから、
ほら、枯れてないでしょう?」
「…」
「ケンさんがイン出来なくなった後は、
僕がお水、あげてたよ?」
私はぼんやりした顔で画面を見つめていた。
「マスターさんはまだ時々、
ログインしてるけどね。
みんな、もう、インしてないんだ。
メイもガブちゃんもね」
「でも、僕は、
この家がある限り、
ずっとインして、
花にお水、あげるからね?」と言って、
そっと私を抱き締めてくれた。
「そうだった。
ケンさん、健吾さんで…。
亡くなったんだった。
私、哀しくて…。
ずっと何してたのかしら?」
「ちゃんとご飯作ってくれたり、
恵吾の学校行ってくれてたりしたよ?」
「あら?
ここって…?」
「毎日、父さんの部屋とか寝室で、
ぼんやりしては泣いてたから、
明るい景色の処に引っ越したんだ。
ほら?
毎日、海に行ったり、
庭でピクニックごっこしてたの、
覚えてない?」
「…」
「夜はいつも、
俺が一緒に寝てるよ?
ギュッと抱き締めて、
額にキスして。
恵吾はあんなに大きくなったのに、
まだ、時々、ベッドに潜り込んで来るけどね?」と、
ガラスの向こうからニコニコして手を振る恵吾さんに、
慎吾さんは手を振り返した。
「一緒に寝てる…の?」
「うん。
あっ。
でも、寝てるだけだよ?
俺と美波さんは『親子』になっちゃったから、
結婚出来ないし」
「えっ?」
「それだけはすまないって、
オヤジ、笑ってたよ」
私は混乱してしまって、
慎吾さんを見上げると、
とても優しい顔で笑って、
額にキスをしてくれた。
「美波さんがもう少し落ち着いたら、
オヤジから渡された手帳、読んで貰えば良いかなって思う。
まだ、無理かな?
さ。
そろそろランチタイムだよ。
今日は俺と恵吾で、
パスタ作るね?」と言って、
頭をポンポンと軽く叩くと、
部屋を出て行ってしまう。
私はぼんやり、モニター画面を見つめていた。
慎吾さんが、
「美波さん、これ、覚えてる?」と言って、
パソコンのモニター画面を見せた。
それは、とても懐かしいゲーム画面で、
そこにはゲームの中の私の家の庭があった。
「懐かしい。
ジュリさんね?」と言うと、
「ここの庭ね。
ずっと『ケンさん』が、
お花に水をあげてたから、
ほら、枯れてないでしょう?」
「…」
「ケンさんがイン出来なくなった後は、
僕がお水、あげてたよ?」
私はぼんやりした顔で画面を見つめていた。
「マスターさんはまだ時々、
ログインしてるけどね。
みんな、もう、インしてないんだ。
メイもガブちゃんもね」
「でも、僕は、
この家がある限り、
ずっとインして、
花にお水、あげるからね?」と言って、
そっと私を抱き締めてくれた。
「そうだった。
ケンさん、健吾さんで…。
亡くなったんだった。
私、哀しくて…。
ずっと何してたのかしら?」
「ちゃんとご飯作ってくれたり、
恵吾の学校行ってくれてたりしたよ?」
「あら?
ここって…?」
「毎日、父さんの部屋とか寝室で、
ぼんやりしては泣いてたから、
明るい景色の処に引っ越したんだ。
ほら?
毎日、海に行ったり、
庭でピクニックごっこしてたの、
覚えてない?」
「…」
「夜はいつも、
俺が一緒に寝てるよ?
ギュッと抱き締めて、
額にキスして。
恵吾はあんなに大きくなったのに、
まだ、時々、ベッドに潜り込んで来るけどね?」と、
ガラスの向こうからニコニコして手を振る恵吾さんに、
慎吾さんは手を振り返した。
「一緒に寝てる…の?」
「うん。
あっ。
でも、寝てるだけだよ?
俺と美波さんは『親子』になっちゃったから、
結婚出来ないし」
「えっ?」
「それだけはすまないって、
オヤジ、笑ってたよ」
私は混乱してしまって、
慎吾さんを見上げると、
とても優しい顔で笑って、
額にキスをしてくれた。
「美波さんがもう少し落ち着いたら、
オヤジから渡された手帳、読んで貰えば良いかなって思う。
まだ、無理かな?
さ。
そろそろランチタイムだよ。
今日は俺と恵吾で、
パスタ作るね?」と言って、
頭をポンポンと軽く叩くと、
部屋を出て行ってしまう。
私はぼんやり、モニター画面を見つめていた。

