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ただ一緒に居たいだけ
第18章 別れと始まり
その後、暫く平穏な日が続いたと思っていたら、
遠巻きに他のお母様達からヒソヒソと噂されている気配があって、
あまり周りを気にしないような鈍い私でも、
変な空気感に気づいた。


一番親しくさせていただいていたお母様に訊くと、
やはりルカさんがあることないこと、周りに言ったり、
あの週刊誌の記者が『取材』と称してうろついているということだった。


そして、その週刊誌に、
センセーショナルで興味本位な記事が載ったようで、
更に違う媒体の記者やカメラマン、
テレビ局のヒトが自宅や学校などに来るようになった。



静かな生活が出来なくなり、
恵吾さんは家から出たくないと言うようになってしまった。


慎吾さんが大学の講義で名古屋に行く日は、
特に外に出るのが私も怖くなってしまって、
恵吾さんと2人、
家に籠城するようにピアノを弾いたり、
歌を歌ったり、
お菓子を焼いたりして過ごすようになった。


幸い、小学校の勉強なら私でも充分、見ることが出来たけど、
家の電話まで頻繁になるようになって、
仕方なくコンセントを抜いているようになった。



「こんなの、ポストに入っていたわよ?」と、
学校からの連絡を息子さんと届けてくださったママ友さんからは、
私のことを義理息子と不倫する淫乱女とか、
読むに堪えないようなことを書かれたビラを持って来てくれて、
震えながら泣いた。


そして、
それを破り捨てるのではなくて、
「こういうの、また入っていたら持って来て頂けますか?」と頼んだ。


犯罪者のように隠れていることに耐えられなくなった。


というより、
恵吾さんにそんな想いをさせることが許せなくなった。



それで闘うことを決めた。
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