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ただ一緒に居たいだけ
第6章 家族でご飯
「もう…。
2人とも、飲み過ぎじゃない?
それに、オバサンを揶揄わないで?」と言うと、

「オバサンなんかじゃないよ?」と、
2人が声を揃えて言うので笑ってしまった。


お化粧室に立ちながらお会計をしてしまって、
カウンターに戻ると、

「そろそろ、帰りましょうか?」と言った。


外に出ると、
更に空気が冷たくなっていて、
少し震えてしまう。


「もっと話がしたいな」と言いながら、
フワリとバーバリーのコートを肩に掛けてくれるけど、

「あの…。
裾が地面についてしまいそうだから、
大丈夫です」と言った。


「ホント、オヤジって、
女ったらしだよな?」と口を尖らせながら慎吾さんが言うので、
私と健吾さんは声を立てて笑って、

「健吾さんは女ったらしなのね?
気をつけないとね?」と言って、
肩に掛けられたコートをするりと脱いで健吾さんに渡した。


「ホテルはどちらですか?」

「えっと。
ホテルじゃなくて、
古い実家があるので、そちらに」

「どなたかお住まいなんですか?」

「いや。
無人で…。
母は健在ですが、見てやれないから、
名古屋に連れてきて、ホームに入ってるんですよ」と言った。


「あら…。
だったら、うちにいらっしゃいますか?
慎吾さんとご一緒に。
渉さんも居なくて、
淋しいから…」


2人は顔を見合わせて固まっている。


「やだ。
私ったら、
唐突で、強引ですよね?」と言うと、

「本当にお邪魔しても?」と、健吾さんが言う。


「オヤジ、図々しいぞ?」と慎吾さんが言うのを止めるように、

「じゃあ、タクシーで行きましょうか?」と言って、
手を大きく振って車を止めた。
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