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第3章 警察に「これは事件です」と言われ、行動

20××年7月、改正刑法が施行された。
改正後の強姦罪は執行猶予なしと厳しくなり、千恵美さんは希望をもった。

千恵美さんは高校卒業後、地元の警察署へ初めて相談に行った。
「刑事の方が『これは刑事事件です』と言いましたが、やはり時効になっているので動けない」

事件化には理由があった。
母校の在学中でAの担当クラスの３年生の水泳部女子生徒からこう聞いたのだ。
「担当クラスや部員の女子生徒は全員、Aに強姦されている。私もAに膣内射精を伴う強姦を何度もされている。他の先生たちも見ているし、知っているのに何もしてくれませんが、Aの関わる女子生徒は全員希望どおりの進路に合格している事実があり、特待生を卒業まで維持できる生徒は１０％ほどだが、Aのクラスの女子生徒や水泳の女子部員で一般に降格した生徒はいないし、昨今の体罰やいじめなどの問題も皆無です」Aは今現在も３年生の担当で、私と同じような被害者がいたのではないかと案じていたのだ。


栗原さんは20××年６月、県教委と市教委に自身の被害を伝え、調査を依頼した。県の条例では、懲戒免職処分を受けるべき行為をしたと千恵美さんはその処分を求めた。

市教委学務課によると、調査は、Aの務める私立中学にて県教委による生徒へのアンケート調査の確認だった。
だが、強姦の事案は見つからなかったが、Aと同意の元に性行為をしたと回答した生徒が大多数おり、クラスや部活も違う一般の女子生徒も複数存在した。
A本人にも聞き取りをしたが、「性行為を同意できる１３歳以上の多くの女子生徒と肉体関係がある」と認めた。
しかし、アンケートの中に強姦されたと記載されたものは１枚もなく、男女が同意のもとに性行為を行うところに市教委には強制力のある調査権がないため、調査は同年末に終了した――。

千恵美さんはこの調査内容に納得がいかなかった。
そこで主要新聞社などメディア、SNSに通知、投稿するも反応はなかった。