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制服を着た獲物
第2章 三階旧従業員休憩室
 エレベーターの扉が開いた。エレベーターから出ると、香坂はコインランドリーが設置されている部屋を覗いた。誰もいなかった。ちなみに三階の防犯カメラは、コインランドリーがある部屋だけを映している。香坂は胸でなでおろしたが、今度はエレベーターのドアが開くことが気になった。自分と恭子の姿は、誰にも見られたくない、いや、見られてはいけないのだ。恭子を従業員休憩室まで連れ込むまで、エレベータの扉が開かないこと香坂は祈った。
 香坂は従業員更衣室のドアのことろに身を潜めた。早く出てこい、香坂はそう願った。今日はいつもより願い事が多い。そんなことを思い香坂の口角が少しだけ上がった。
 その時ドアが開いた!今だ!香坂は更衣室から出てきた恭子を後ろから羽交い絞めにした。えっ!香坂は驚いた。着替えているはずの恭子が制服を着たままなのだ。その理由は直ぐにわかった。恭子から煙草の匂いがする。更衣室には恭子一人、誰もいない更衣室で、恭子は私服に着替える前に煙草を吸っていたのだ。そして、三階にある自販機から、お気に入りの缶コーヒーでも買うために更衣室から出てきたのだろう。
「声を出すな!声を出したら〇〇すぞ!」テレビや映画でよくある台詞だが、実際には声などでない。それはテレビや映画の世界だけ。香坂は何も言わず、恭子も騒ぐようなことはしなかった。もっとも恭子の口は、香坂の右手で塞がれているので、大声を出そうにも出すことができない。
 香坂は恭子を羽交い絞めにしたまま、従業員専用入り口の扉を開けた。恭子の抵抗は小鳥のようなものだった。華奢な体の恭子が格闘家でもない限り、高校大学とラグビーで鍛えてきた香坂に抗うことは不可能だった。
 香坂が、恭子を羽交い絞めにしたまま旧従業員休憩室のドアを開ける。もちろん中には誰にもいない。新しい休憩室ができたため、香坂が恭子を連れ込んだ古い昔の休憩室には、今は冬寝具の毛布などが置かれている。その毛布の上で優しく恭子を抱く、なんてことは香坂の計画の中にはない。恭子にやさしさなど必要ない。小うるさく生意気な三白眼の小娘が壊れるまで犯しまくる。嫌味たっぷり「このホテルと帝産ホテルは違いますから」と恭子が言う度に、香坂はそれだけを考えていた。恭子と言う人格に遠慮はいらない。恭子の精神も体も、俺がボロボロにしてやる。そう香坂は決心していた。
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