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縄師-Ⅱ 中・高編
第2章 蔵
千鶴が言った、折檻という古い言葉が新鮮に聞こえて心がザワッとした。
「俺とちづのようなことなんだろ。少なくとも、助けてやろうってことじゃねーし。ちづはいつから知ってたんだ」
「十一ぐらいかな。前の家で居たときに、夜中に目が覚めて、声がする1階に降りていったら……母さんが縛られてた」
「母さんが縛られてて恐いとかなかったのか」
「二人が笑ってたからだと思う。楽しいことしてると思ってそっと見てた。それに女の子には、もう何となくエッチな感じが伝わってドキドキしてたのよ」
「十一歳でか」
「あのとき見たのが母さんでなく、別の女の人でも恐い気はしなかったと思う。それはその先にエッチな感じがあるからだよ。もし、男の人同士なら暴力だから恐かったかもしれない」
確かに、双方が性の認識をもたなければ何をしても暴力だ。
「母さんは、あとで針で刺されて泣いてたけど、それを見たときにも、私なら泣かずに我慢ができる。もっと痛いことされてもいいのにって思ったもの」
高校生の俺なら、あのときの千鶴の言葉と千鶴が虫を針で刺す意味が理解できる。
千鶴が虫を刺すのは、刺された虫に自分を置き換えていたのだ。
それなら刺した加虐者は……俺だ。
俺は、裸の千鶴を押さえつけたまま、「実は昨日の夜、通販で取り寄せた鞭をコンビニに取りに行ったんだけどその帰りにさ……」
昨晩見たことを話した。
「そうか。蔵で……だったんだ」
千鶴は捜し物を見つけたように呟き、俺は千鶴がごっこで作ったシチュエーションの源を知った。