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縄師-Ⅱ 中・高編
第2章 蔵
千鶴の部屋は2階の和室8畳で、低いセミダブルのベッドと学習机が置かれている。
箪笥の上の刀架には、小父にねだって手に入れた鎌倉時代の古びた太刀や、60センチほどに切られた竹の弓が飾られていたりして、普通の女子生徒の部屋とは多分、かなり雰囲気が違うのだろうと想像できる。
何よりベッドに寝た目線で机の下や本棚の奥を見れば、貼ってある絵は伊藤晴雨の責め絵や蚊帳の隅に立つ幽霊、皿屋敷の責め殺される画が巧みに隠され貼られている。
俺はソッと掛け布団を剥がし、上からいきなり覆い被さった。
千鶴は一応の抵抗はするが両手を頭の上に出しクロスするので、寝間着の腰紐をほどき、両手首を軽く縛った。
今どきパジャマではなく、千鶴が寝間着で寝るのは絵の世界に同化するためだ。
あとはいつものとおり軽いキス。そしてはだけた身体に舌を這わせて乳首を甘噛みする。
俺が千鶴を可愛いと思い、そういう抱きしめ方をするようになってから、千鶴の被虐願望が狂気のように噴き出すことはなくなった。
だが機会がある度に小出しに圧力を抜いてやる必要があり、今もスイッチが入ったようで、俯せになり壁に掛けた弓を見あげた。
手足を大の字に縛る四本の縄は、この前使ったまま机の引き出しに入れてあると言う。
俺は千鶴の背中に自分を重ねて抱きしめ、
「それより注文した鞭が届いたから、今日の儀式にそれを試そうぜ」と言った。
「そうだ、ところでさ、芳恵さんの胸に鞭のような痕があったけど……」
俺は千鶴の顔を覗き込み、カマをかけてみた。
「見たんだ」
千鶴は驚いた様子も無く、クルリとあお向きになると俺の首を抱き、頭を引き寄せて耳をカリッと噛んだ。
「ふふっ」と笑い、
「母さんを芳恵さんだって?」
「さっき、そう言えっていわれたんだ。俺も小母さんって呼び方、死んだ先妻の小母さんみたいで嫌だと思ってたしさ」
「そうなんだ……母さんは父さんに縛られて折檻をされてるの。リョウはそれ知ってどう思った?」