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縄師-Ⅱ 中・高編
第3章 鞭と生け贄
その日、千鶴はカーテンの白いレースをドレスのようにまとい、俺は学生服の襟を返した背広とネクタイで、2人の聖なるチャーチである蔵に入った。
荷造り台に上がった千鶴をマットに横たえ、うつ伏せにして四隅にある鉄輪と革紐で大の字に引き延ばす。
そして俺は悪魔であることを宣言し、千鶴が悪魔への生け贄であることを宣告する。
千鶴がまとっているレースをむしり取る。
「お前は今から鞭打たれる。裂けた血肉は魔族の宴に供される」
そう宣言して、まず、届いた鞭を試すことにした。
千鶴は、この前ベッドにうつ伏せに縛り、弓で背中を打ったのがかなり気に入った様子だった。
特に千鶴の場合、想像力がエクスタシーを高めるので、シチュエーションが重要な役割を持つ。
柱や大木を抱くように縛られて鞭打たれるのは、奴隷や囚人が罰を受けているのを想像して興奮するのだという。
「本当は柔らかい赤ちゃんの唇で吸われるはずの乳首をザラザラする木の皮とかに押し当てられるのって、切なくて悲しいじゃない。そこで背中を鞭で叩かれるのだから、心と一緒にお腹やあそこまで痛みが響いてくる」
そう言って痛みを想像する。
「だから……、そういうときの鞭は『ビシッ』と鳴る鞭で、それとは別の性感を直撃する鞭は鋭い一本鞭とか細竹なんかの『パシッ』と鳴る鞭がいいの」
背中を弓で叩いたとき、喘ぎ声と共にベッドを濡らした千鶴はそう言った。
今日は魔王に陵辱される生け贄だ。
鞭の試し台にされたあと、悪魔に犯されることを定められた日でもあった。
鞭の先端を背中に這わせる。
ゾクッとした感じの身震いを見て、バラ鞭で強く背中を打つ。
バンッと、思った以上に大きな音がした。
二人で相談して買ったのは九尾の鞭というもので、昔の武将が振る采配に似た形をしている鞭だ。
短冊のような革が9本付いていて、衝撃を分散するので皮膚に傷が付かないだろうと思い購入した。
かなりの力で3度、千鶴の背中を打った。
千鶴は『ウッ』と息を止めて耐えているが、今までの、どの鞭で打ったときの反応とも違っていて俺を戸惑わせる。
痛みが――染みこむ気がしないのだ――。
十数度打ち、俺はバラ鞭を放り投げた。