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 縄師-Ⅱ 中・高編
第4章  針と鍼

「なあ。針で刺すってどんなふうにしてたんだ」

 針で刺されて泣いている母親を見た千鶴は、ムカデを串で刺して、のたうち回る姿に自分を投影していた。

「私ならもっと痛いことをされてもいい……」

 母親が針で責められるのを見ながら、そう思ったという。

「背中を刺すときは、丸めたこのマットを抱かされてたわ。抱いた手首と手首を引き合わせて結ばれてた。背中には大蛇と仏様の画が描いてあった。その上を何本か並んだ短い針で刺していくの。ビッビッていう弾くような音がしたあと、何かを塗り込むのだけど、そのときがとても痛そうだった」

 俺は、タトウとか刺青ってそういうやり方なんだろうか。と思った。でも昨夜見た芳恵の背中にはタトウも入れ墨の痕もなかったように見えた。

「前はね、正座して両手を上から吊るの。それから凄く細い針を脇の所に2本ずつ刺されてた。この時は乳首がピクピクしてて、涎が出るぐらい気持ちが良さそうだけど、次の針を乳首に刺した途端、背中を反らせて泣き叫んだ。でも、もっと凄いのはあそこを刺されたとき。正座のまま後ろに倒された姿勢で、おへその下とか膣のとことか4本ぐらい刺されて、その針が揺れるたびに悲鳴を上げるのよ。そして多分クリトリスだと思うけど、最後にそこを刺された途端、声を上げて身体が跳ね回る。勿論ギッチリ縛られて猿ぐつわとかしてるし、そこにあるビニールシートも敷いてるんだけどね」

 針の種類、指す場所、それに刺し方。そんなに色々あるんだと初めて知った。

「俺は針って言うと裁縫に使う針なのかと思ってた」

 千鶴が引き出しからガラスの針入れを出してきた。

「ほら、こんなに沢山色々な針があるじゃない」

 俺が用途不明でスルーしていた引き出しだ。

 そこには消毒ケースに入った細い針とそれを掴むようになっている金属だとか、ルレットにマチ針をつけたような道具とかが収納されている。俺がそれらの使い方を覚え、千鶴で試す日はまだまだ先のことだと思った。

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