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縄師-Ⅱ 中・高編
第4章 針と鍼
金曜日の夜11時ごろ。千鶴から、親たちが蔵に入ったとスマホにメールが来た。
その前8時半ごろに千鶴が俺の部屋に来て、夕食の時の様子を伝えてくれていた。
「食事が終わったとき、母さんが『あー』て言いながら肩を叩いたの。それを見た父さんが、肩が凝ったのか?と訊くと、ビックリした顔で『いいえ』って言うのよ。それから父さんが、『どれ見せてみろ』って言って母さんの手を背中にねじって肩を掴んだの」
「『何だ。結構凝ってるじゃないか。久しぶりに針を打とうか』
『いえ、大丈夫です。それ程辛くないですから』怯えたように断ったという。
『放って置いて良くなる訳がないだろう。それに続きも残ってるし。いいな』
それでね、『わかりました』って言ったときの顔が、もう何ていうかな、女の顔だった……。わかるかな」
「わかるかも。ちづを股縄で感じさせながら鞭で叩いて苦しませたらそんな顔になるんじゃね」
「ふーん。やってみれば」
そう言って飛びついてキスをして帰って行った。
この前のように、換気窓から明かりが漏れていた。
俺は隠して置いた木製のハシゴを窓の横にかけ、底の固い靴を履いた千鶴を先に登らせた。
俺がシーツを肩に掛け家を抜け出してきたのは、後ろから千鶴に被さり落ちないようにするためと、蔵の白と同化して目立たなくするためだ。
芳恵は既にテーブルに俯せに縛り付けられていた。
角に鉄の環が埋め込まれているあの長テーブルだ。
小父は例の鞭を取り出し、それで芳恵の背中を撫でたあと、ヒュンッと音を立てて打った。
ビシッと背中が鳴り、芳恵は悲鳴を上げて身体が跳ね上がった。
「アッアアアッ」からだが小刻みに震え続ける。
「4発目でもうそれか。今日テーブルを濡らしたら懲罰だぞ」
「は、はい」
「懲罰は何がいい」
芳恵が甘えたような声で言った。
「明日の事も有りますから、軽いものでお願い」
「ついでだからクリの刺青にしよう」
芳恵の顔が青ざめた。
「嫌です。あれだけはやめて。お願いですから」
必死になって懇願始めた芳恵の背中に5回目の鞭が振り下ろされた。