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 縄師-Ⅱ 中・高編
第4章  針と鍼
 乳房の性感をどう感じているのか、俺には解らない。

 千鶴に要求された事の殆どは、俺はあとから自分で試している。

 それで千鶴がどう感じているか何を求めているかが想像ができるし力の加減ができるからだ。

 だが乳房は俺には無い物で、痛みも快感もどう感じているのか想像することもできない。
 だからこそ、あこがれて虐めたくなるのかも知れない。

 千鶴は、
「感じるのは脇とおっぱいの付け根。膨らみが始まる所をスペンス乳腺というんだけど、それとやはり乳首が一番感じるかな。全体的にはソフトに触られる方がいい。虫が這い回る感じ? ゾワゾワして叫びたくなるわ」

 だが、それはひとりエッチのときだけで、俺にはやはり痛くして虐めて欲しいという。だからよけいわからない。

 蔵の中では、芳恵が茣蓙(ゴザ)に正座して縛られていた。
 後手合掌縛りという、千鶴が好きな縛り方だが、小父の縄の裁きがメチャ早い。

 まるで、縄が自分で巻き付いていくように見えて、あれなら縛られる方も間延びせず、テンションを維持できるだろうと感心した。

 瞬く間に縛り終えた小父は針の入った硝子ケースを芳恵の前に置き、ここからでは辛うじて見える銀色の細い鍼を金具で摘まみ消毒する。

 鍼の先を乳首に当てる。「痛点に刺す」小父が言った途端、芳恵が「やめてっ」と叫んで身をよじったが、トンットンットンッ。保持金具の頭を右手人差し指で三回叩き、鍼が乳首を突き刺した。
芳恵が「ギャーッ」と絶叫する。
 刺したままの長い鍼が揺れるたび「アッアッ痛い」と悲鳴を上げる。
 小父がもう片方の乳首をつかむ。乳房は張り、乳首が勃って乳暈は艶やかに光っている。
「これでは相当痛いかも知れないな」
 小父が乳首をグリグリと揉みながら、恐怖を煽る。

「イヤーッ。嫌です。もう許して」
「お前はそう言うけど、ほら、身体はもっとって要求してるんだから」

 小父はわざと、トンッ、トンッ、トンッと間隔をおいて針を刺す。
 芳恵は絶叫と同時に身体を反らし、痛みと快感に翻弄されて涙を流した。 
 
「普通ならあんなに痛くないんだよね」
 千鶴が囁く。
「痛点って言ったでしょ。わざと痛みが強いとこに刺したんだ」
「それに痛いだけじゃないみたいだな」
 身体をくねらせる様子は千鶴が耐えがたい快楽から逃げようとする姿と同じだった。
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