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縄師-Ⅱ 中・高編
第4章 針と鍼
乳首の針は抜かれて、千鶴が言ったスペンス乳腺に差し替えられたが、『痛み』が連れてきた快楽物質は、張り巡らされた神経を介して、身体中に伝送されているようで、肩を打つ針も、腰を打ったときも芳恵は上体を反らし、或いは頭を膝につけるほど屈んで悶えていた。
鍼を抜き、縄を解かれた芳恵は、ドラム缶のように丸めたマットを抱かされた。
マットを抱いた手首同士を縄で結ぶ。
下半身も馬に乗るように跨がり、足首同士が結ばれる。
小父は絵の具を引き出しから出し、それで芳恵の右腰から臀部にかけて図柄を描いていく。
芳恵の腰から臀部にかけて蓮の花が出現した。
小父は筆の柄に数本の針を着けた道具を消毒し、瓶から出した液体を皿に移すと、図柄の上から針を数回刺した。
芳恵が「ウウッ」とうめき声を上げて額に皺を寄せる。痛み……。
だが、その顔はすぐにブルッと震えて、快感を感じた愉悦……に変わる。
小父が芳恵に打ち込んでいく針は紛れもなく『刺青』で、日本の文化でいう『しせい・いれずみ』というものだ。
だが、刷り込んでいくのは墨ではなく、皿に移した白い液体だ。
針を打ったそのあとに何らかの色が付くこともなく、ミミズ腫れの細い筋と血の跡だけが皮膚に残されていった。
「もしかしたら、白粉彫り(おしろいぼり)っていうやつかしら」
「なんだ、それ」
「私も良く知らないけど、普段は見えなくて、お風呂とかで皮膚が赤くなったときだけ、模様が浮かび上がる入れ墨があるって聞いた」
そうなんだろうか。でも何のために……。温泉は入れるのかな?
俺はマットを抱きしめて声を震わせ続ける芳恵を見ながら、それにしても……と小父が鍼灸師や彫り物師の腕をもっていることに驚いていた。
「リョウもあんな風にできるようになれる?」
「無理。どっちの針を使うにしても何年も修行とかしなきゃ駄目だろ」
でも脇とか……乳首とか、あの辺りとか、痛さを感じるぐらいには針で突いて、千鶴を泣かせてみたいとは思った。
鍼を抜き、縄を解かれた芳恵は、ドラム缶のように丸めたマットを抱かされた。
マットを抱いた手首同士を縄で結ぶ。
下半身も馬に乗るように跨がり、足首同士が結ばれる。
小父は絵の具を引き出しから出し、それで芳恵の右腰から臀部にかけて図柄を描いていく。
芳恵の腰から臀部にかけて蓮の花が出現した。
小父は筆の柄に数本の針を着けた道具を消毒し、瓶から出した液体を皿に移すと、図柄の上から針を数回刺した。
芳恵が「ウウッ」とうめき声を上げて額に皺を寄せる。痛み……。
だが、その顔はすぐにブルッと震えて、快感を感じた愉悦……に変わる。
小父が芳恵に打ち込んでいく針は紛れもなく『刺青』で、日本の文化でいう『しせい・いれずみ』というものだ。
だが、刷り込んでいくのは墨ではなく、皿に移した白い液体だ。
針を打ったそのあとに何らかの色が付くこともなく、ミミズ腫れの細い筋と血の跡だけが皮膚に残されていった。
「もしかしたら、白粉彫り(おしろいぼり)っていうやつかしら」
「なんだ、それ」
「私も良く知らないけど、普段は見えなくて、お風呂とかで皮膚が赤くなったときだけ、模様が浮かび上がる入れ墨があるって聞いた」
そうなんだろうか。でも何のために……。温泉は入れるのかな?
俺はマットを抱きしめて声を震わせ続ける芳恵を見ながら、それにしても……と小父が鍼灸師や彫り物師の腕をもっていることに驚いていた。
「リョウもあんな風にできるようになれる?」
「無理。どっちの針を使うにしても何年も修行とかしなきゃ駄目だろ」
でも脇とか……乳首とか、あの辺りとか、痛さを感じるぐらいには針で突いて、千鶴を泣かせてみたいとは思った。