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縄師-Ⅱ 中・高編
第2章 蔵
2年の夏が過ぎた頃。
夜、通販の受け取りとシャーペンの芯を買いにコンビニに行った帰り――田村家の庭を横切り蔵の裏を通って近道をした。
何か音がして見上げると、蔵の換気窓から明かりが漏れているのに気がついた。
千鶴の両親が、明日、売りに行く商品の荷造りをしているのだろうと思った。
だが時折微かに聞こえてくる小母さんの声は悲鳴というか、間違いなく絶叫で、そういった声でなければ微かにとはいえ、厚い壁の外にまで漏れ聞こえない。
植木屋が剪定のために置いてあるハシゴをかけ、換気窓から中を覘くと全裸で縛られた女性が宙を泳ぐように浮いていた。
千鶴の母親の芳恵が数本の縄で吊られていたのだ。
二重の縄が胸縄をまとめた背中から天井へと伸び、両足もそれぞれ滑車のチェーンにつながれている。
口と首に巻かれた縄が股縄に結ばれ、頭を首の可動域限界まで反らされていた。
それは、千鶴が見せてくれた写真の『吊り』方とはまったく違うものだ。
吊る縄は少ないほど一本当たりの加重が増え、縄が身体を締め付けて肌に食い込む。
芳恵の上体を吊る縄は僅か6本ほどで、乳房の上、乳房の下、そしてあとは乳首の上から巻かれて乳房に深く埋没し、膨らみを二分割していた。
股縄には体重の多くがかかっているのだろう。埋没した縄が肛門から生えているように見える。
足を伸ばすと首縄が絞まるようで、その度に息づかいが苦しそうに聞こえるが、表情には微かに笑みが浮かび、口からはよだれが釣り糸のように筋を引いている。
芳恵の表情は、まるでそれらの縄から快楽成分を注入されているようで、身体をくねらせ、圧迫される乳房に上体を悶えさせながら、喘ぎ声をあげているのだ。
田村おじは芳恵の苦しむ様子をしばらく見ていたが、「どうだ……」と声をかける。
そして芳恵の「もう……許して……」という途切れ途切れの声を聞くと、芳恵の股間から垂れ下がっているリモコンのスイッチを入れた。