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第1章 愛妻

その夜。

祐介は８時過ぎに帰宅したのだが、久美子はまだ帰っていなかった。
　
久美子が用意しておいてくれたハンバーグの夜食をチンして食べていると久美子が帰って来たのだった。

「お帰り！先に食べてたよ」

「うん、やっぱりちょっと遅くなっちゃった」

久美子も鞄を置いて上着を脱ぐと、同じくハンバーグをチンして食べ始めた。

「あ、そうだ！明後日、警察署に行かないといけないのよ！この前、引ったくりを捕まえた表彰をしたいんだって・・」

久美子がサラリと言った。

「ああ、そうか！しかし、一介の主婦が引ったくりを捕まえちゃうんだから・・久美子様様だよな」

実は久美子は空手三段の猛者だったのだ。

だから、引ったくりの１人や２人捕まえる事なんて朝飯前なのだった。

「しかし、こんな華奢で綺麗な女性が空手の達人だなんて・・聞いたら、皆びっくりするよなぁ」

祐介は眼の前にいる愛妻を改めて尊敬の眼差しで見詰めるのだった。