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神戸国際投資顧問会社秘話~”オフィスメイド”というご奉仕の形
第4章 オフィスメイド 二宮 由紀
青山家は、江戸時代の廻船問屋から始まり、今では、世界の海運会社に外航船を貸し出す船主会社に発展した。青山家には、当主は妻帯せず、ハウスメイドに生ませた子を神戸聖母愛育院に出して養育し、成人後に、当主の器と見込んだ者を認知して、家に呼び戻し、後継ぎにするという、代々の<しきたり>があった。
社長の土井は愛育院の出自で、同時期に青山家から出されていた現在の当主とは、兄弟同然に育った。しかも、土井は極めて成績優秀であったことから、青山家の援助で米国留学した縁もあって、15年ほど前に、青山の推挙で、社長に就任した経緯がある。
会議室では、土井が待ち受けていた。由紀がお茶を出すのを待って、青山が、「有り難う、二宮さん。今日はね、ちょっとすまないけど、席をはずしてもらえませんか。」 と言うと、由紀は両手で持ったお盆を腰前に当てて、深々とお辞儀をして退室した。