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神戸国際投資顧問会社秘話~”オフィスメイド”というご奉仕の形
第5章 オフィスメイド 関口 美穂

【第2話】
10月、神戸東灘の本住吉神社の境内からは、本殿の屋根越しに、秋空に映える六甲山の優美な稜線が見渡せる。その本殿で、久松と美穂の神前結婚式が行われた。久松側は、弟夫妻と叔父(先代・父親の末弟)夫妻、美穂側は、親代わりの伊集院夫妻と土井が参列し、式後は、六甲アイランド内の高級ホテルに移動して、昼食会が開かれた。
久松と美穂は、和装の婚礼衣装から、久松はフォーマルなダークスーツに、美穂は、土井の心尽くしの緋色のシルクドレスに着替えて着席した。和やかな談笑が続いた。久松の叔父は、 「美穂さんは、伊集院さんが大事に見守ってこられたそうで、このような良縁を得て、久松家一同で有り難く思っているんですよ。」 と、伊集院や土井に話しかけた。
また、弟からも、「兄は、寂しい思いをしていたので、本当によかったと思います。」 とか、 「久松家の当主は代々の学者肌で、会社でこそ大きなお金を動かすことはあっても、日々の暮らしは質素でしてね。お手伝いさんもいらないと言うので、食事など、健康面も心配だったんですけど、これで安心です。兄は、今日のことでも、派手な披露宴はいらないと言い張りましてね。」 などと、にこやかに話が続いた。
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