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神戸国際投資顧問会社秘話~”オフィスメイド”というご奉仕の形
第3章 オフィスメイド 森本 沙織

マクウェイン家の館は、競走馬牧場の広大な敷地の中にある。牧草地には<さんざしの木>が点在し、ジョージアン様式の左右対称の美しい建物には、アンティークガラスをはめ込んだ縦長のダブルハング・ウインドウが整然と並ぶ。池田と沙織は、玄関の前にそびえ立つオークの巨木を見上げながら、執事の案内で、歴代当主の肖像画の掛かる応接ホールに通された。
ホールでは、マクウェイン卿とその妻、母親、長男夫妻と挨拶をして、しばらく紅茶を飲みながら歓談した後、皆でダイニングルームに移った。羊肉を使ったアイリッシュシチューや、シェパーズパイなど、郷土色豊かな料理が次々出された。
マクウェイン卿と長男、そして池田は、トリニティ・カレッジの同窓なので、学生時代の思い出に話が弾んでいたが、やがて、隣り合って座った母親と沙織が、アイルランド特産のアランセーターのことを熱心に話し出すと、周りが一人また一人と黙り込み、沙織の顔を見つめた。

