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繋がり
第2章 兄と妹
「……お前、色々我慢してねぇか?」
「………してないよ…」
「…前の親父さんのこと……なんかあったのか?」
蒼は私の前のお父さんのことを知らない
お父さんは知ってるかわからないけど
たぶん、お母さんが伝えているだろう
でも、蒼は知らない。
言いたくなかった。
何をされてきたかなんて…
「……なんも、ない……」
「言いたく…ないか?」
「…………蒼、離して」
私は軽く蒼の胸を押す
「……嫌だって言ったら?」
「え?」
蒼の言葉に思わず見上げると
そこにはあの日と同じような熱のこもった瞳をした蒼がいた
「…………蒼…?」
「……だから…嫌なんだ……藍のそばにいるのは」
「…え?」
嫌?
私のそばにいるのが?
「蒼は……私のこと……嫌い?」
気がつけばそう問いかけていた
その質問に蒼は驚いた顔をして、思わず私を抱き締めていた手を解いた
「……なにいって…」
「出てって。……私は蒼の妹……妹でいい……嫌われるぐらいなら、妹でいい」
目の前は涙で滲んで
私は蒼の体を力一杯押して、部屋から出した
そしてドアを閉めるとき、溢れた涙がこぼれ、蒼の手に落ちた。
「おい!藍!」
そう呼ばれたけど、私はドアの鍵を閉めた
「っ………う…」