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繋がり
第2章 兄と妹
「………どうして?」
穏やかな母さんの顔が少し、こわばった気がした
「…俺だけ、知らない……親父は知ってんだろ?」
「……蒼。やめなさい」
会社に行くところの親父がそう呟いた
少し、その声には怒りがあった
「……いいのよ。お父さん…いずれ、話さなきゃいけないことだったし」
「でも、藍が……」
藍?
なんで、藍が出てくるんだ?
「……学校、あるだろ」
「遅れていくよ。知りたいんだ」
「…はぁ…勝手にしろ。母さん、行ってきます」
「えぇ」
親父が出ていくと、母さんは台所から
二つマグカップを持ってきた
「………藍からは聞くはずないわよね」
「うん」
「あの子は…信一が好きだったから…でも、信一は藍のことを傷つけたのよ」
信一、というのは前の旦那だろう
母さんの顔は今にも泣き出しそうな顔をしていた
少し、藍ににている。
こらえているけど、今にも涙が溢れそうな顔
「……聞いて、どうするの?」
「……わからないんだ…でも、知りたい…藍がその事で苦しんでるなら…その苦しみを分かっててやりたい」
「それは……家族としてかしら?」
鋭い質問に俺は一瞬戸惑うが
すぐに微笑む
「もちろん、兄としてだよ」