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繋がり
第2章 兄と妹


どんどん、嘘が上手くなってくるな、俺は


「………信一は、すごい優しい人だった。藍が生まれて、ほんとに幸せだったわ」
「……うん」
「だけどね…信一は藍が小6の時、急に人が変わった……仕事がうまくいかなくて、八つ当たりのように私たちに暴力をふるった」

暴力?

DVということか…

「変な話…暴力だけなら、まだ良かったけど……藍は暴力だけじゃなかった……」

母さんは震える手を握りしめていた

暴力以外に、なにが?

俺は少し考えて、たどり着いた予想に少しバカらしさを感じたが
乾いた笑いを漏らした

「……まさ、かな?」
「………まだ、小6だったのよ?」
「嘘だろ?!……嘘だって……いってくれよ」

母さんはその言葉に耐えていた涙を溢した

「………私が仕事から帰ってきたとき、藍は裸だった………毛布にくるまって、涙を流すわけでもなく、泣き叫ぶ訳でもなく、ベッドで同じように裸の信一が寝ている、横に座ってた」



実の父親に、レイプされたのか………



「すぐに、状況はわかったわ……毛布の上から抱き締めて、何度も謝った……私が、あんな人と結婚したからって…」
「…………母さん……」
「そしたら、藍は…私を抱き締めて、これで別れる理由ができたでしょ…だから、逃げようって笑ったのよ」




藍………


お前はどれだけ、傷ついていた
どれだけ、怖かった?


「………あの子は…私のために、信一と寝たのよ。抵抗もしなかったと思うわ…」
「……子供とかは、出来なかったのか?」
「……大丈夫だったわ……避妊の薬をすぐに飲ませたから」

涙を流す母さん
俺は、ただ呆然としていた

そして

ゆっくり立ち上がる


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