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第7章 少年A

「もう！乱暴なんだから！
いい？女の子は優しく扱わなきゃダメなの！」

荒々しいキスだったけど
夢子にとっても
これが自分の体で経験するファーストキスだった。

『唇…亜土夢に奪われちゃった…』

不思議なもので
恋愛対象でもない年下の男の子なのに
ファーストキスを奪われると
すごくドキドキしてきた。

「わかった…優しくキスをするよ」

そう言うと亜土夢は唇を尖らせて
ムードのないキスを求めてきた。

タコ唇がどんどんと迫ってくるので
夢子は思わず吹き出してしまった。

「もう！なんだよ！汚いなあ！！」

至近距離で吹き出してしまったものだから
霧吹きのように唾液をいっぱい亜土夢の顔に浴びせてしまった。

「ごめ～ん…
でもね、にらめっこするみたいに
顔を近づけないで…」

鼻と鼻がぶつからないように
こうするのよ

亜土夢にリードを任せていると
コントのようになってしまうので
仕方なく夢子は首を傾けて
自分から亜土夢に唇を重ね合わせた。

「夢子、上手だね…」

キスをしながら、うっとりとした表情で
亜土夢は感想を述べた。

本体での経験はないものの
いろんな人たちに憑依して
何度もキスをしてきた夢子のキスは
亜土夢を蕩けさせた。