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夢見る夢子
第8章 失われた能力
大型スーパーに併設されている喫茶店で
二人は再会を祝った。
ひととおり挨拶を済ますと
夢子は思い出したように亜土夢に詰め寄った。
「あんたさあ、もうすぐ死んじゃうって
私に嘘を言ったわよね?」
「えっ?僕、そんなことを言ったっけ?」
ガキの頃の悪戯じゃん
そんなの水に流してよと
屈託もなく亜土夢は笑った。
「イタズラぁ~!?
あのね、私、あんたが童貞で死んじゃ
可愛そうだからって
私、処女まであんたに捧げたんだからね!」
若い子持ちの夫婦とみられたのか
周りの客は夢子が「童貞」だの「処女」だのと
大声で言ったので
興味津々で二人を見ていた。
「シっ!夢子、声が大きいよ…
そんなことを大きな声で言うもんじゃないよ」
高校生の亜土夢は大学生の夢子を叱りつけた。
「まったく、小生意気なとこはあの頃のままね」
周りの耳を気にして
思わず夢子は声のトーンを落とした。
「文句があったんなら
幽体離脱して僕のところに来ればよかったのに」
「それがさあ…
あんたとエッチしてから
急に出来なくなっちゃったのよ」
「えっ?やっぱり?
僕もそうだよ!
夢子を抱いてから出来なくなったんだ」
声のトーンを落としても
隣の席からは丸聞こえだったようで
お隣の席の老婦人が
『あらあら、若いのにEDなの?』と
哀れみの視線を二人に投げた。