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夢見る夢子
第8章 失われた能力

「やっぱり、こういう話は
こんなところで出来ないね」

亜土夢はそう言って
痴話喧嘩なんかじゃありませんから的な意味で
隣の老婦人にペコリと会釈をした。

「ねえ、良かったらウチに遊びにおいでよ
いっぱい話したいことがあるしさぁ」

夢子はサラリと亜土夢を家に招いてしまったと
慌てて「もし、イヤじゃなければ」と付け加えた。

「ほんと?遊びにいってもいいの?
うわぁ~、嬉しいなあ
僕、女の子の部屋って
めちゃくちゃ興味があるんだよ」

顔をくしゃくしゃにして笑う顔は
あの時の少年の面影を宿していた。


その週の土曜日…

「ママ、今日、おともだちが遊びに来るの
だから圭くんの面倒はパスさせてね」

「いいわよ、いつも圭の面倒を見てもらって
悪いなあって思っていたの」

で、誰が遊びに来るの?

ママったら友人の少ない夢子が
誰かを家に招くと知って興味津々だった。

「えっと…高校生の男の子…」

「えっ?高校生?年下の男の子かぁ~…」

そうよね、年下の男の子って
可愛いもんねえ~!

ママは二人がどういう関係か聞こうともせずに
一人で「うんうん」と楽しそうに頷いた。


そして、約束の土曜日がやって来た。


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