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夢見る夢子
第4章 男の体
夢子がトイレから出て席に戻ると
すでに二人の姿はなかった。
「あの子、ホントに谷本先生と
デートに行っちゃったんだ…」
まったく危なっかしいたらありゃしないわ
こうなったら幽体離脱して追いかけて
ちゃんと監視しなきゃ…
夢子は急いで帰宅して
自室に閉じ籠った。
母の芙美子が「あら、ずいぶんと早く帰ってきたのね」と驚いていたけど
「ちょっと気分が乗らなくて…」と誤魔化した。
さて、いったい二人はどこへ行っちゃったのかしら?
お願いよ、上手く幽体離脱出来ますようにと
強く念じて夢子は眠りに入った。
少しずつコツを覚えはじめたようで
すぐに夢子の意識は自室の天井に浮かんでくれた。
『谷本先生のところへ…』
そう念じると、
一瞬、暗い闇に包まれた夢子の意識は、
次の瞬間、谷本先生と真紀子のいる部屋へ飛んだ。
「本当に僕の部屋でいいんですか?」
谷本先生は二つのカップに
コーヒーを注ぎながらそう言った。
「ええ、先生がどんな暮らしをしているのか
とても興味があったんですもの」
真紀子の言葉に嘘偽りはないようで
興味深そうにキョロキョロと部屋を眺めていた。
「どうってことのない独身男の汚い部屋で
案外とガッカリしたでしょ」
ローテーブルを挟んで谷本先生と真紀子は
ソファに向かい合わせに座った。