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夢見る夢子
第1章 プロローグ
煌々と明かりが灯っているのは
どうやらお通夜をしているようだった。
祭壇に祀られた遺影を見て
夢子は「ひっ!!」と声をあげた。
なぜならその遺影の主が
今まさにそちらを見つめる透明なドレスを着た女だったからだ。
思わず声を漏らした夢子に
背の高い男が「おや?あなたには見えるのだね?」と声を掛けた。
「はい、私には見えます」
そう言って夢子は男の顔を見上げて
もう一度「ひっ!!」と驚いた。
なんとシルクハットの下から覗く顔は
真っ白でツルンとしていたからだ。
「のっ…のっぺらぼう!」
夢子は通夜の会場から出てくる人々に
助けを求めて「お化けよ!お化けがいるわ!」と
大声をあげたが誰一人として夢子の声に振り返りはしなかった。
「無駄ですよ…私たちは生体ではないのですから
誰にも聞こえないし見えません」
それにしては…と
男は言葉を続けて
「あなた、半分生体反応がありますね?
もしかして生き霊なのですね?」と
何が何やら理解不能な事を言った。
「あなたは一体…」
「私は案内人です
生体の者たちの間では死神という不名誉な呼び名で呼ばれてますけれどね」
『し、死神ぃ!!』
うわぁ、ホントにいるんだ…
私まともに見ちゃった…
じゃあ、私…殺されちゃうの?