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夢見る夢子
第5章 母の友人絵美子

その夜…

夢子はなぜだか絵美子さんの事が
気になって仕方ない。

『私に出来ることはないかしら…』

そう思うといてもたってもおられなくなり
夢子は久方ぶりに幽体離脱して
絵美子さんの家庭を見てみる事にした。



「夕食にする?」

絵美子は帰宅してきたご主人の琢磨に尋ねた。

「今日はいい、半端な時間に昼食取ったから」

相も変わらず冷たくいい放つ琢磨。

受け取ったスーツをハンガーにかけながら、
絵美子はがっかりした。

芙美子さんを訪問して
『離婚』という事を口にしたが
実際のところ、
絵美子さんはご主人に未練たらたらで
出来ることなら修復したいと思っていた。


「明日からは出張で、しばらく留守にするから」

出張だなんて…
女の家に行くに決まっている。
そう思いながらも
必死に表情に出さずに「荷造り、手伝おうか?」と
明るく声をかけた。

「大丈夫、先に寝ててくれ、明日は6時前に出る」

ずいぶん早いんだね、と驚く。

そうだな、と上の空で返事をしながら、
夫は書斎に入っていった。

日付が変わってだいぶたった頃、
寝室のドアが開いた。

夫は絵美子を起こさないよう
静かに隣のベッドに入ってくると、
すぐさま眠りについた。

その気配を眠ったフリをしながら
絵美子は感じた。

ふと隣のベッドに目を向けた。

こちらに背を向けて寝息をたてている
そんな夫の背中を見ながら考えた。

琢磨と結婚して20年。

大好きで結婚したし、
今までなんの不満もなかった。

お互い、
一緒にいることに慣れすぎちゃったかもしれない、
だから琢磨は別の女に
興味を持ってしまったんだわ。

五年ほど前から、すっかりセックスレスになった。

忙しい夫は疲れていることが多くて、
頻繁に間が空いて、
やがて完全にセックスをしなくなった。

琢磨は、もう私の体に魅力を感じてないんだわ

元から積極的に求めてくるほうでもなかったので
特に何も思わなかったが
まさか別に女がいたなんて…


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