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夢見る夢子
第6章 ナース 彩佳
夢子は、とある大学病院に搬送された。
救急隊員から夢子を引き継いだナースの近藤彩佳は
「バイタルは?」と救急隊員に尋ねた。
「血圧、60の20!心拍微弱!自発呼吸なし!」
それを聞いたドクターが
「緊急処置室へ!」と叫んだ。
父が駆けつけた頃には
点滴と投薬のおかげで夢子は自発呼吸を再開していた。
処置を終えて状況説明に
ドクターが両親の元へやって来た。
「娘は?夢子は無事なんですか?」
父と母が同時に尋ねた。
「容体は安定しましたし、
自発呼吸も再開しました
ただ…心停止の時間にもよりますが
最悪の場合…意識の回復は厳しいかもしれません」
それを聞いた母は、その場に泣き崩れた。
『ごめんね、ママ…
なんだかわかんないけど
体に戻れないのよ』
そう言って泣き崩れる母の肩に
手を置こうとしたが
その手は母の体をすり抜けてしまった。
「おやおや…大変な事になってますねえ」
抱きしめることが出来ずに
落胆する夢子の背後から懐かしい声がした。
あの、のっぺらぼうのシルクハットに黒マントの
自称、案内人と言った死神がそこにいた。
「ええっ?!あんたが来たってことは…
わたし、あんたに連れられていくの?」
夢子は愕然とした。