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夢見る夢子
第6章 ナース 彩佳

「今すぐ連れていく訳ではないですよ
どうやら心臓がまた動き出したみたいですしね」
のっぺらぼうの案内人は
チューブをいっぱいつけられ
ベッドで眠り続ける夢子の本体を見てそう言った。
「良かった~!」
夢子はホッとした。
「しかし!」
夢子が安堵したのもつかの間、
案内人は言葉を続けた。
「48時間が限度ですかねえ…
それまでに本体があなたを求めないと
連れて行かなくてはいけません」
「そんなあ…」
「48時間以内に
誰かを幸せにすれば
特例として私があなたを元にもどしてあげますよ」
あなたは面白い子だから
連れていくのは偲びないんですよ
そう言って「では、48時間後に、またお会いしましょう」と案内人は姿を消した。
「ちょ、ちょっと待ってよ~!」
夢子は案内人を呼び止めたが
もはやその気配は跡形もなく消え去っていた。
「そんな…『私は不幸です』なんて
顔に出してる人なんて
そんじょそこらにいないわよ!」
ここは病院なので
命を落としそうな人ならいるけど
そんな人の体に同化してもどうすることも出来ない
夢子は途方にくれてしまった。
刻一刻とタイムリミットが近づいてくる。
どうしよう…どうしよう…
夢子は気持ちばかり焦っていた。

