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夢見る夢子
第6章 ナース 彩佳
「失礼します」
眠り続ける夢子の体のもとへ
一人のナースがやって来た。
「お加減はどうですか?」
返事もしない夢子に向かって
普通の患者さんに接するように
ナースはいろいろと言葉を掛けてくれた。
「意識もないのに話しかけてもムダよ」
遅れてやって来たもう一人のナースが
冷たく言い放った。
意地悪そうなナースは
面倒くさそうに夢子のバイタルの数値を
カルテに書き込むと、そそくさと出ていった。
「目を覚まさないだけで
ちゃんと聴こえてるかもしれないのにねえ」
夢子ちゃん、頑張ってねと
優しいナースは夢子を励ましながら
点滴を取り替えてくれた。
『この人に付いていって
病院内をウロウロしてみよう』
夢子は誰かを幸せにすると言う
手立てがなかったので
藁にもすがる気持ちで
優しいナースの意識に溶け込んだ。
ナースの名は斎藤彩佳。
27歳の独身未婚女性、彼氏なし、
秋田から上京してきて看護師寮で独り暮らし
彩佳の心に溶け込んでみて
彼女の柔らかい心にうっとりしてしまう。
でも、なんだろう…この感じ…
心の片隅にどんよりとした重いものを感じる
彼女は看護士の仕事をてきぱきとこなした。