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自慢の母親
第2章 初めての不倫
朝、戸田と同じ電車に乗るようになって、痴漢は出なくなり、戸田と会える嬉しさも相まって、ゆかりは朝が楽しみになっていた。

(今日も戸田君に会える・・♪)

そう考えただけでウキウキ、ドキドキしてしまうのだ。

(私ったら・・息子のクラスメート相手に何盛り上がっているの・・?)

ふと冷静になり、今の自分を考えるとおかしくなって一人でニヤけてしまうゆかりだった。

そんなある日。

朝、戸田と同じ車両に乗り、並んで吊り革に掴まっていると、突然、戸田が突拍子もない事を言い出したのだった。

「よかったら、今度、俺とデートしてくれませんか?」

「えー?デ、デート?」

ゆかりは思わず戸田の顔をましまじと見てしまったのだった。

「ちょ、ちょっと・・戸田君、私は健介の母親よ!健介のお友達の戸田君とデートだなんて・・」

ゆかりは笑いながら、やんわりと断ったのだった。

「ダメなんですよ。歳が近い子だと話が合わなくて・・」

「えー?そうなの・・?でも、そっか、私と話が合う位だから、戸田君はきっと精神年齢が高いのかもね」

「何か、そうみたいです。でも、歳上なら、誰でも良い訳じゃないんです。やっぱり相性ってあると思うんで・・」

戸田が真面目な顔で話すのだ。

「うーん、気持ちはわかるけど、ちょっと考えさせて・・」

ゆかりの中では答えは出ていたのだが、簡単にお誘いに飛び付く勇気も度胸もなかったのだ。


戸田は、朝、ゆかりと顔を合わせるたびにデートに誘って来た。

ゆかりが考えてるから少し待って・・と話すと、いつまで待てばいいのか?いつになったら返事をもらえるのか?と嫌味のない範囲で聞いてくるのだった。

特に焦っている風でもなく、爽やかな戸田の誘いに断る理由もなかった。

ゆかりは微笑みながらコクリと頷いたのだった。

「やったあ!」

日頃はクールな戸田がガッツポーズをし、喜ぶ姿を目にしてゆかりも嬉しくなるのだった。

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