この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
I‘m yours forever
第5章 美月は何も知らなかった 後編
「昔の女房の写真だよ。綺麗なのに本人は写真映り悪いからってあんま撮らせてくれなかったんだが、頼み込んだら後ろ姿だったらいいってさ(笑)」
「後ろ姿だけでも美人のオーラが凄いです...」
「だろ?ぶっちゃけ今も撮りたいんだけどさ、駄目だって言うんだよ😅後ろ姿だぜ?聞けば最近、白髪が生えてきたって言うしさ...。染めてて分かんねえよって言ったんだが、そういう問題じゃねえよ察しろって言われてよ....😅俺は女房の写真撮りたいだけなんだが、いくら言っても伝わらねえ。切ねえよ(笑)」
「なるほど、それでアイコンが昔の奥様の写真のままなんですね....(笑)」
「そういう事(笑)ありがとな、長話付き合ってくれて。帰るわ。」
そう西條は言うと、ダイニングチェアからすっと席を立つと、玄関へと向かっていった。慌てて私も玄関へと向かう。
「わざわざ見送りなんてしなくて良かったのに。真面目だな、美月ちゃん。」
「沢山黎一さんの事、教えて頂いたので、見送りぐらい、どうって事無いです。」
「ありがとうな、美月ちゃん。アイツ、色々問題抱えてるけどさ、根は真面目だし悪い奴でもねえ。何より美月ちゃんの事大好きだ。どうか今後も仲良くしてやってくれ。」
そう言い放った後に、角度90度はありそうな深々としたお辞儀をされて焦った私は「も、勿論です!頑張ります!」と若干上擦った声で返答してしまう。
そう私が返答した直後に、顔を上げた西條はニマニマとした笑みを浮かべた。
「じゃあな、美月ちゃん。また会おうぜ。」
そう言い捨てると、我が家の玄関扉を勢いよく開けて去っていってしまった。
小馬鹿にされた?と思う間もない。してやられた感じもするが、不快な気分も無かった。
非常に親しみやすくて不思議な人...だった。
........。
黎一さん...どうしよう...。
西條さんを見送り、リビングへと戻ってきた私の視界に、ソファーで横になっている黎一さんの姿が視界に入る。
確かに今、叩き起こして質問攻めにすれば、いくら頭の回転が早い彼でも嘘はつけないので、彼の本音を聞ける絶好のチャンスとも言える。
だが....非常に良心が痛む。
とりあえず、声だけ掛けてみるか。