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I‘m yours forever
第5章 美月は何も知らなかった 後編


「黎一さん、そこで寝ると身体痛めますよ。」


声掛け後、彼からの返答は無い。やはり夢の中かと思ったが、ふと彼の右腕の位置が気になった。彼の目元部分を隠すように覆い被さっている。


あれ...さっき、西條さんが寝かせた時って、こんな状態だったっけ?
右手なんか無かったような...。


不思議に思いながら、何となく彼の右腕が気になった私は、その右腕の指先にそっと触れてみた。

すると、眠っている筈の彼の身体が大袈裟なまでに反応する。


「.......黎一さん....もしかして起きてます?」


「....................。」


無反応だったが、私には寝たフリを決め込んでいるようにしか見えなかった。
そして目元付近に固定されてしまったかのように動かない右腕をますます怪しく思った。あまり気にしていなかったが、隠されていない口元付近に仄かな赤みがあるのも気になる。


「失礼します!!」


スゥっ....と深呼吸をして、事前に断りの言葉を述べた私は、思いっきり彼の右腕を掴んで退けようとした。


「...........え...........?」


瞬間、梃子でも動かないと思われていた右手がサッと引き、ソファの背もたれ側へと身体を反転させる。目にも留まらぬ速さだった。


何でそこまで頑なに、顔を....。
いや、それ以前の問題として、彼....起きてるよね?


そのまま理が非でも俺は動かんぞ!という頑固な意思を感じる背中を私に向けていた彼だったが、やがて観念したのかむくりと彼は起き上がった。



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