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第5章 美月は何も知らなかった　後編

「本当のお母様には...再会出来たんですか？」


「いや....私が生後間もない頃に自殺した。」


「うそ....何で...？」


「父親曰く、私の母に独身だと嘘を吐いて付き合っていたらしい。だが妊娠が発覚し、流石に既婚である事を白状したそうだ。妻と離婚する気は無いが、認知、養育費、騙していた事に対する慰謝料は払う。お前を愛しているが、病弱な妻との間に子供は無く、離婚をすれば彼女が一人になってしまう為、出来ないと。だが、その子供の父親として関係を続けていきたいと私の母に懇願したらしい。」


「.......それをお母様は受け入れて出産を？」


「そうだ。だが母は話し合いの途中、中絶をするべきではないか？としきりに父に言っていたらしい。つまり本心は、妊娠に躊躇いがあったんだ。だが私の父は全て妻に話し、了解を得ていると嘘を言って母を説得したと言っていた。とんだ外道だ。」


「.........嘘？...あ....出産を反対されていた.....とか....」


「そもそも何も伝えていなかったんだ。言えば確実に逆鱗に触れると思ったんだろう。時期も悪かったしな。」