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ふぞろいのザクロたち
第6章 真佐子の母
『仕方ない…
放課後、家庭訪問してみるか…』
まさか自分が受け持つクラスから
不登校の生徒が出てしまうとは
思いもよらなかった。
体調不良で休ませると
連絡があったきり真佐子の保護者からは
なしのつぶてだ。
『もし、本当に体調不良なら
なんとかしないと…』
このままだと出席日数の不足で
卒業が怪しくなってしまう。
放課後、洋介は重い足取りで
真佐子の家を訪問した。
インターホンを押しても応答がない。
『仕方ない…メモでも放り込んでおくか』
洋介がメモにペンを走らせて
ポストに投函しようとするタイミングで
「はい…」と
か細い声で応答があった。
「あ、すいません
私、真佐子さんが通っている高校の
担任なんですけど…」
そのように返答したが
またまた応答がない。
いったい、どうなってるんだと
諦めかけたところでドアがガチャと開いた。
「あ、夕刻の忙しいところ申し訳ありませ…」
ありませんと言葉を繋ごうとしたが
洋介はおそらく真佐子の母親であろう女の顔を見て
ギョッとなった。
肌艶はいいのに
目の下にクマを作り
泣き腫らしたのか瞼がどんよりとしていた。
「えっと…何かありましたか?」
ただ事ではないと
洋介は背伸びをして家屋の奥を覗いた。