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ふぞろいのザクロたち
第6章 真佐子の母
「今日はどこへ連れていってくれるんですか?」
助手席の窓をホンの少しだけ開けて
外の風を感じながら
佐智子は弾んだ声で洋介に訊ねた。
「海を見に行きましょう!
広い海原を見れば気分がスッとしますから」
「海か~…いいですわね!」
心なしか
佐智子の声が弾んでいた。
ドライブに誘って良かったと
洋介もまたウキウキしていた。
隣の助手席から、いい香りがしてくる。
佐智子はおめかしして
香水をふってきたのだ。
海岸線をドライブすると
まるで心が若返って青春時代を思い出した。
「砂浜を歩いてみませんか?」
洋介に促されて
二人で砂浜を歩く。
肩を並べて歩く二人の距離が
少しずつ近くなってゆく。
洋介は思いきって佐智子の手に触れてみた。
すると佐智子は、
そうすることが自然だとでもいうように
洋介と手を繋ぎ始めた。
「真佐子…今頃どうしているかしら?」
「佐智子さん、
今日は娘さんの事は忘れてください」
いや、僕が忘れさせてあげますよ
洋介は少しキザかなと思いながらも
さりげなく佐智子の肩を抱いた。
抵抗する事もなく
佐智子もまた体を洋介に預けた。
こうして触れあうことで
二人は互いに相手を異性として意識し始めた。