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ふぞろいのザクロたち
第7章 犯人探し
AV制作会社の近くのカフェで
三人は仲良く一つのテーブルに腰を降ろしていた。
恵美里としては早く緑川という男を引っ張り出して
真佐子にした仕打ちにたいして
こっぴどく怒ってやろうと思っているのに
広はエミリーに出会って懐かしいのか
「まあまあ、そいつの事は
後でゆっくり問い詰めてやるから」と
エミリーが休憩をもらうから
お茶しましょうという誘いに
こうしてノコノコとカフェに引っ張り出されたのだ
こんなことをしている暇なんてないのに
隣の席で頬を膨らます恵美里を無視して
広はエミリーと仲良く喋っていた。
あれは京塚広が、まだ駆け出しだったころ…
映像技術の専門学校の傍の路上で
「バイトを世話してやるよ」と誘われて
働き始めたのが○○企画であった。
AV制作会社だなんて
どうせいかがわしい会社なんだろうと
広はすぐにでもそのバイトを辞めるつもりだった。
だが、働いてみると
淫らな職場でもなんでもなく
皆がよい作品を作ろうと頑張る姿に感動さえ覚えた
「京塚、そろそろ現場に出てみるか?」
上司の大山が広にそう言ってくれた。
「はい!行きます!」
いつもいつも雑用ばかりだったので
早くカメラを手にして撮影したいと思っていたので
広はワクワクしていた。