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ふぞろいのザクロたち
第7章 犯人探し
「悪い…ちょっと待っててくれ…」
広は忌々しいスマホを手に取ると
通話をタップした。
途端にスマホからは大きな声が聞こえ出した。
『お~い!広!!
もうエミリーに突っ込んだか?』
AV監督の声が鼓膜を破るかという大きな声だ。
当然、同じ部屋にいるエミリーにも聞こえる。
『今、盛り上がってんだよ!
お前も来い!今すぐ来い!!』
BGMのように他のスタッフも
早く来いよ~!と大合唱している。
「今は…ちょっと…無理です」
『あ~ん?俺の命令を聞けねえってのか?
お前、エミリーを
自分の女にしようと思ってないか?』
「いえ…そういうわけでは…」
『お前が仕事を頑張ってるのは皆知ってるさ
だから、ちょいと
いい思いさせてやろうと思っただけだ、
でもよ、エミリーはうちの女優だ、商品なんだよ!
それ以上のめり込むな!
諦めてこっちに来い!!
さもなくば…
お前もエミリーも仕事から干すぞ!!!』
忌々しいスマホを見つめながら
広は歯ぎしりした。
「行って…行きなさいよ!」
エミリーはベッドから降りて着衣を始めていた。
そうしてエミリーとの関係は終わった。
「あれからしばらくして女優をやめたの
今は安月給の受け付け嬢よ」
運ばれてきたコーヒーをスプーンでかき混ぜて
エミリーは少しだけ寂しそうに笑った。