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ふぞろいのザクロたち
第9章 告白
「恵美里!おい、恵美里待てよ!」
背後からの広さんが追いかけてきてくれた!
恵美里は嬉しくて足を止めて
広が追い付いてくれるのを待った。
「追いかけてきてくれたの?」
「ああ、母さんに
君と二人っきりになってこいって
尻を叩かれて店を追い出されちまったよ」
そう…マダムにそうしろって言われたから
あなたは渋々追いかけてきたのね…
彼女じゃない
付き合ってはいない
写真モデルの素材としか見ていない
今まで広が恵美里に言い放った冷たい言葉が
恵美里の頭の中を駆け巡った。
『あれっ?何でだろ…
私、涙がとまんない…』
いつしか人通りの多い大通りで
恵美里はしゃくりあげて泣いていた。
道行く人々がチラチラっと二人を見てゆく。
『やあねえ、痴話喧嘩?』
『女の子を泣かしてオロオロしてるわ
情けない男ね』
通りすぎる人々の声なき声が
矢のように広に突き刺さってゆく。
「泣くなよ恵美里…どうしちゃったんだい?」
とにかく人目につかない場所に行かないと…
辺りをキョロキョロすると
少し先にラブホテルのネオンが輝いていた。
「行こう恵美里、落ち着く場所に行こう!」
広は恵美里の手を取って
ずんずんと先を急いだ。