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ふぞろいのザクロたち
第9章 告白

手の甲を這う舌の動きに驚いて声をかけても、
広からは相変わらず返事が無い。

指と指の間を舐められて、
思わず身体が跳ねた。

広の舌がつつつと指先へと移動し、
また指の付け根へと戻っていく。

手に感じる生温さと
時折、耳に届くぴちゃりとした水音が
やけに強く意識を刺激した。

やっと腕を解放された私の目の前で、
広はベッドに腰かけた。

今にもヘナヘナと崩れ落ちそうな恵美里を
広は優しい眼差しで見上げていた。
その目は、どこか淫靡な光が宿っていた。

「おいで」

そう言った広は、
恵美里を自分の膝の上へ誘導した。

息がかかる距離で向かい合う、
今までかなり一緒にいたけれど
ここまで至近距離で見つめ合うのは初めてだ。
恵美里は頬が赤くなったのが自分でも分かった。

広の顔がどんどん近づいてくる。
咄嗟に恵美里は目を瞑った。

「ん、ふっ、んん!」

交わした口付けは熱く、
唇に触れては離れ
離れては再び触れた。

ピチュピチュ…

唇と唇が触れ合う湿った音が部屋に響く。

そんなキスの余韻を感じる間もなく、
離れた広の唇は
恵美里の首筋をたどって降りてくる。

「待って…シャワーを…」

「狼になりかけているのに
時間を置いちまったら、また羊に戻るぞ」

鎖骨から唇を離し、
そう問いかける広に恵美里の体温が上がる。

口に出さずに
ただ小さく頷くと、
口元に笑みを浮かべた広は
恵美里の唇に再びキスを求めてきた。




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