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ふぞろいのザクロたち
第1章 ミスコン
「えっ?京塚さんの…お母さん?」
よく似た顔つきだとは思っていたが
もしかしたら姉と弟かな?と感じていたので
親子だと言われて恵美里は驚いたのだった。
「そうよ、ディスコ…今でいうクラブね
そこで知り合ったどこの誰かもわからない男と
初球先頭打者ホームランってやつよ」
マダムはそう言って
手をバンバン叩いて笑った。
じゃあ…年の差は…
「私が16の時の子供だからね
まあ、ワカメの至りってやつよ」
「それを言うなら若気の至りだろ!」
「で…お父さんは?」
「それがさあ、一夜限りのアバンチュールでしょ
どこの誰かもわかんないままよ」
妊娠に気づいた時は
堕胎の文字が頭に浮かんだそうだけど
それって、殺人でしょ?と
それならせっかくの命なんだから
産もうと決めたらしい。
「うちのお袋、ぶっ飛んでるだろ?」
呆れた顔で浩は恵美里に同意を求めた。
「いえ…そんな…」
まさか、はい、そうですねとも言えるわけない。
「いろいろあったけど…
やっぱり産んで良かったって思っているわ」
そう言って微笑む浩の母親の顔は
恵美里を攻めているときの淫らな笑みではなく
菩薩のような優しい笑みだった。