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ふぞろいのザクロたち
第3章 予選落ちの女

三脚にデジカメをセットして
セルフタイマーでシャッターを押す。

ジジジ…とタイマーが刻まれている音を聞きながら
千尋は急いで決めた立ち位置に向かう。

あともう少しでシャッターが切られる。
その瞬間を見越して
千尋はコートの前をバッと開く
ヌードをさらけ出すのと同時にシャッターが降りて
パシャっという音と共にフラッシュが焚かれて
暗闇に千尋のヌードだけが浮き上がった。

「咲洲さん?」

コートの前を開いて
恍惚の表情を浮かべる千尋に
背後から名前を呼び掛けられた。


「咲洲さんでしょ?」

「えっ!?」

突然背後から話しかけられて
心臓が飛び出そうになった。

恐る恐る首だけ振り返ると、
そこにいたのは西尾優弥さん。

同期入社した職場の同僚だった。

「な、なんでこんなところに…!?」

西尾に背を向けたまま
千尋は慌ててコートを閉じた。

「ああ、さっきまで先輩と飲んでてさ~。
いい気分だったから
ちょっとこの辺りを散策しようかと思って。
あんまり来たことなかったけど
この公園とか何かいい雰囲気だよね~」

「そ、そう…かな?」

やばいやばいやばい!!

取りあえずコートのボタンを
ちゃんとかけ直さなきゃ…。

「まさかこんなところで
咲洲さんに会えるなんてな~!」

西尾さんがどんどん近づいてくる。

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