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 縄師-Ⅲ 小父とM女。
第3章  芳恵
 手のひらで性器を叩く。
 恥骨とその上辺りまでを、まんべんなく。

 性器からフィードバックされる快感と、息が出来ない程強く縛られている苦しさがリンクする。叩かれた振動は子宮に届き、それが芳恵の内臓を震えさせた。

 包皮を被ったクリトリスが、まるで淫花植物のように佇んでいる。

 俺はそれを口に含み、舌で転がし、吸い、噛んで、楽器のように様々な悲鳴を芳恵に上げさせる。
 性感を覚えさせる。それが痛みを快感に変える第一歩だ。

 着衣をはだけられた恥ずかしさ、毛を剃られ性器を剥き出しにされた恥ずかしさと、触られ、なぶられて、それを快感と感じた屈辱感。

 それに胸に食い込む縄の苦しさが混ざり合い、芳恵に何年か振りの涙を流させた。

 芳恵は前回『空彫り』をしたとき、痛みの中で確かに2度、快感を感じた兆しを見せた。

あの時の芳恵は闇が深くて、自身も自覚がなかったようだが、その闇の奥にある意識こそが芳恵をこの工房に導いたのだと俺は確信していた。

 死ぬ前に全身を針で刺されたいと言ったあの意識。

 それこそが性に目覚め、針を打たれることに悦びを感じるきっかけになるはずだ。

 そうして針を打つ俺の脳髄を狂気で充たす。

 それが俺と芳恵の関係なのだと感じていた。

 足幅を固定する棒をはずし、柱に縛り付けた縄を解く。
 腕だけで柱を背負う形になるので上下の移動には自由がきく。

 膝立ちさせた足の間に、バイブ機能を強化した張り型を固定した板を置く。

「そのまま腰を落として正座になれ」

 芳恵は少しずつ膝を曲げ腰を落とすが、張り型の先端が膣に触れると「あっ」と声をあげて伸び上がる。
 俺は柱の後ろから、縛った手首を掴み、下に押し下げて腰を落とさせる。
「無理です。こんなの入らない」
 芳恵は俺の意図を知り、仰け反って抵抗する。それでも徐々に張り型は膣に侵入し、芳恵は1年振りの侵入者に膣壁を押し広げられて悲鳴を上げた。
「きつい。痛い。大きすぎる。許して。助けて」
 あらゆる語彙を並べて懇願し、頭を反らして腰を上げようとするが、俺は益々肩を押し下げる。
「そんなこと言ってるけどあんたは自分で腰を落として入れてるぞ」
「噓。そんなことないです」
 ローションを塗ってはいるが、やはり芳恵自身からでる愛液が滑りをよくしているのだ。
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