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 縄師-Ⅲ 小父とM女。
第3章  芳恵
 皮膚に模様を描く筆が、責めで敏感になった肌に叫びたくなるような擽ったさを感じさせる。

 芳恵は愛液が滲み出るのを感じて顔を赤らめる。

 閉じようとする両足が革紐で開かれていることを改めて知り、猛烈な羞恥心に襲われたようだ。

 両腿をよじる動きで股のヌメリを知った俺は、筆で乳首とクリトリスをもてあそび、益々滲み出た愛液を指ですくい取り、芳恵の唇に塗りたくった。
「感じやすくなったな」
「嫌。言わないで……」

 恥骨の肉が薄いところは痛みを強く感じる。

 俺は口を開けた大蛇の下顎と牙が、そこから始まるように針を刺し、白い墨を入れた。

 針が『ビッ』と音を立てて皮膚を傷つける。

「アッア」芳恵が痛みを声に出した。

「感じるだろう。痛みの後からジンッとする熱を。それが悦楽になる……」

 皮膚が熱を帯びピンクになった。
 調合した墨と皮膚の色の差が明確になり白蛇が徐々に姿をあらわした。


 芳恵の彫りを本格的に始めた頃、彫り幽の工房は客が激減していた。
 芳恵だけが客ともいえない客という有様だ。

 元々幽齋の個人的な趣味の工房でもあり、芸術の美を伝承出来るほどの腕も無い俺は、工房をたたみ、芳恵の、これも慰謝料で手に入れた屋敷で、芳恵を縛っては針で責め、刺青を入れてMの感性が高まるのを楽しみながら二人で遊んで暮らしていた。


 生活は兄がはじめた金融で安定した収入が有ったし、師が結構な額のタンス預金を俺にくれていた。何より兄がくれた蔵には何千万という骨董が残っている。

「籍を入れてくれないか」
 改めてプロポーズした俺に、
「娘を引き取って一緒に暮らしても良いのなら。養育費は家元から頂きますから」
 芳恵がそう言い、俺達は10歳の娘と3人で暮らし始めた。
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