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欲灯
第2章 奴隷女
西口の漫画喫茶。
『奴隷』として使命を果たした莉奈は、自分の取った部屋にホットレモンティーを持って入室した。
薄い壁の向こうからパソコンのキーボードを打つ音だけが聞こえる。
莉奈は、目の前のパソコンやテレビを点けるでもなく、携帯電話を取り出しメールを打った。
湯気の立つレモンティーに息をかけながら口を付けた。
『ピロピロピローン!』
大きな着信音が部屋だけでなく店内に響き、莉奈は慌てて携帯を取った。
隣から咳払いが聞こえ、莉奈は壁に向かって苦笑しながらお辞儀した。
『23番』
メールにはそれだけが書かれていた。
(23番・・・・・・ここは確か、16番だから・・・・・・)
莉奈は部屋に伝票だけを置いたまま、レモンティーとバッグを持って16番の部屋から出た。
店内には抑え気味にBGMが流れてはいるが、土曜日の昼過ぎというだけでなく、雨の所為もあって混雑していた。
そのため、BGMにドリンクバーの音、キーボードを叩く音、カップル席の小さな話し声、それらが重なって、全体的に騒がしく感じた。
本棚で漫画本を選ぶ者、ドリンクバーコーナーでカップラーメンを作っている者、沢山の本を抱え自分の部屋へ向かう者、その誰もが莉奈の大きな瞳とモデル級のスタイル、長い髪やミニのスカートに振り返る。
ここの漫画喫茶は全体的に照明が薄暗くしてあり、各々の部屋からは集合住宅のようにポツポツと電気スタンドの光が漏れている。
(21・・・・・・22・・・・・・23、ここだ)
その集合住宅の中で、23番の部屋だけは電気スタンドを点けておらず、まるでその家だけが留守のようにしん―と静まり返っていた。
莉奈は、23番の部屋の前に立ち、ドア板の下、自分の膝くらいの高さから下は中が見えるようになっている事に気付き、覗いて確認しようと膝を曲げた。
『カラカラ・・・・・・』
しゃがむ寸前にドアが開き、莉奈はビクッと体を反らした。
「やぁ、入って」
野球帽を被った男が、笑顔で手招きしている。
『奴隷』として使命を果たした莉奈は、自分の取った部屋にホットレモンティーを持って入室した。
薄い壁の向こうからパソコンのキーボードを打つ音だけが聞こえる。
莉奈は、目の前のパソコンやテレビを点けるでもなく、携帯電話を取り出しメールを打った。
湯気の立つレモンティーに息をかけながら口を付けた。
『ピロピロピローン!』
大きな着信音が部屋だけでなく店内に響き、莉奈は慌てて携帯を取った。
隣から咳払いが聞こえ、莉奈は壁に向かって苦笑しながらお辞儀した。
『23番』
メールにはそれだけが書かれていた。
(23番・・・・・・ここは確か、16番だから・・・・・・)
莉奈は部屋に伝票だけを置いたまま、レモンティーとバッグを持って16番の部屋から出た。
店内には抑え気味にBGMが流れてはいるが、土曜日の昼過ぎというだけでなく、雨の所為もあって混雑していた。
そのため、BGMにドリンクバーの音、キーボードを叩く音、カップル席の小さな話し声、それらが重なって、全体的に騒がしく感じた。
本棚で漫画本を選ぶ者、ドリンクバーコーナーでカップラーメンを作っている者、沢山の本を抱え自分の部屋へ向かう者、その誰もが莉奈の大きな瞳とモデル級のスタイル、長い髪やミニのスカートに振り返る。
ここの漫画喫茶は全体的に照明が薄暗くしてあり、各々の部屋からは集合住宅のようにポツポツと電気スタンドの光が漏れている。
(21・・・・・・22・・・・・・23、ここだ)
その集合住宅の中で、23番の部屋だけは電気スタンドを点けておらず、まるでその家だけが留守のようにしん―と静まり返っていた。
莉奈は、23番の部屋の前に立ち、ドア板の下、自分の膝くらいの高さから下は中が見えるようになっている事に気付き、覗いて確認しようと膝を曲げた。
『カラカラ・・・・・・』
しゃがむ寸前にドアが開き、莉奈はビクッと体を反らした。
「やぁ、入って」
野球帽を被った男が、笑顔で手招きしている。