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欲灯
第1章 浮気男
「あ、ごめんなさい!!」

「あーいいよいいよ、取るよ」

莉奈に笑顔を向けた啓介は、ライターを拾おうとテーブルの下にしゃがみ込んだ。



(ん?)

落ちたライターを手にし、ふと前方を向いた啓介の目に、現実感のない景色が飛び込んだ。



脚が開かれ、



タイトスカートが少し捲り上がり、



その中心の、本来であれば莉奈のパンティが見えるその場所には、



陰毛1本生えていない、生の女性器があった。



(え……!?)



(え、禁断の果実!?)



時間では1秒2秒でも、啓介には時が止まったくらいに理解のし難い光景だった。

慌てた啓介は何事もなかったかのように努め、テーブル下から戻り「あ、はい」と一言だけ付け加えて莉奈にライターを貸した。

「・・・・・・どうもです」

その際、啓介に「ノーパン」を知られた事を悟った莉奈は、恥ずかしさのあまり啓介と目を合わせられなかったが、啓介もまた、莉奈と目を合わせる事は出来なかった。

「あ、コーラ、取ってくるね」

頭の中で整理がつかないまま、啓介は部屋を出てドリンクバーへ向かった。



(マジかよ……なんでノーパンなわけ?)

「お……っと、すみません……」

頭の中に、莉奈の「無毛女性器」がグルグルと駆け巡り、すれ違った男性とうっかりぶつかってしまったが、真っ白になった啓介の目と耳には、ぶつけられた男性の帽子のツバから睨む目と、「チッ」と啓介に向けた舌打ちの音は入っていなかった。



(なに、ひょっとして、痴女みたいなやつ!?)

(俺が見たの、気付いたかなぁ……てか、誘えばヤレんの!?)

「あ……」

気付けば、コーラとメロンソーダを注ぐハズが、コーヒーとオレンジジュースを注いでいた。

(コーヒーじゃねーし)

自分に突っ込みを入れたと同時に出てきた「コーヒー」という単語で、ふと遥を思い出した。

(俺、何やってんだよ……遥、なんかごめんよ……)

そう懺悔する啓介の股間は、既に膨らみ始めていた。
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