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欲灯
第4章 淫乱女
「あ、こんな時間! ヤベ、帰んなきゃ!」

突然思い出したかのように空気を割り、青柳が帰り支度を始める。

「ちょ、青柳、おまえ・・・・・・」

「あまり長居出来ないって言ったよな? 啓介にもよろしく言っといてよ」

「あ、まぁ・・・・・・でもおまえ、何も今すぐ逃げなくても・・・・・・おい青柳ぃ」

「・・・・・・すまんね。歩美ちゃん、飲み会でまた会おうね、ね?」

「あ、はい・・・・・・また」

「ちょいちょい! それ、持ってけよなぁ」

赤井が指した先に転がるジッポライターを一瞥し「俺、吸わねぇしなぁ」と遠慮する。

「今からあの人に会うんだろう? ならあの人にでもあげりゃいいじゃんよぉ」

「あー、うん。まぁ・・・・・・」

渋々と了承した青柳が、拾い上げてポケットにしまい込んだ。



「じゃぁ赤井、歩美ちゃん、行くわ。・・・・・・えっと、仲良く、な」

「おいおい、変な冗談やめろよぉ!」

「青柳さん、楽しかったです。はい、あたし『たち』仲良くやりますから」

その声を背中で受けながら、青柳は逃げるように部屋から出て行った。



「おいおいおい、歩美ちゃんもぉ。いじめるなよぉ」

「いじめてないですよ、本気ですよ?」

「・・・・・・っと。まいったなぁ・・・・・・」

「赤井さんが、あたしの火をつけてしまったんですよ?」

「でも歩美ちゃんさ、たった今青柳ともエッチしてさ・・・・・・」

「それはこれからも、それでいいですよ。赤井さんも、自由にどうぞ。

・・・・・・ただね、寂しいんです。

・・・・・・なんか、どこかで鎖に繋がってないと・・・・・・地面がないような、飛んでっちゃうような・・・・・・。

青柳さんに抱かれて気付いたんです。赤井さんが良いなって」

「・・・・・・まぁ、そう言ってくれるのは嬉しいけどさぁ・・・・・・。俺、啓介の友達だよ?」

「わかってて手を付けたんでしょ? 関係ないよ」

「でも俺、何の取り柄もない男だよ?」

「取り柄はこれから探していこうよ。あたしもだし」

「でもでも俺、ただのヤリチン・・・・・・だよ?」

「わかってるよ・・・・・・大丈夫。



あたしだって



ただの淫乱女だから」
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